夏と花火と恋人と、[後編] 夏と花火と恋人と、[後編] ────────── 抱き合っていた体を離し、未だ空へと上がり続けている花火を見つめる。 照れくさそうに俺を見つめる先生の顔が淡く地上に届く花火に照らされいつもより幼く見えて思わず目を細めた。 もう一度キスしようと顔を近付けた所で、神社に近付いてくる何人かの足音を俺の耳が拾った。 唇が触れ合う寸前で動きを止める。 先生はそんな俺を不思議そうに見つめていた。 「先生…しー、ね、しー…」 「………………?はい」 先生と俺の唇の間に人差し指を立てて言えば僅かに首を傾げきょとんとしながら頷く先生。 思わず襲いたくなったけど一先ず我慢して、のろのろと、けれど確実に近付いてくる足音から隠れるように近くの茂みの中へ隠れた。 持ってきた荷物を置き、音を立てないよう狭い場所に二人して体を密着させ合い息を殺す。 「あの…槇くん?何で、隠れたりするんです?」 「…先生と二人っきりなの、邪魔されたくないから。せっかくのデートなんだ、少しでも長く一緒に居たい」 こしょこしょと小さな声で話す先生に同じ声量で答えぎゅっと抱きつくように先生の肩に顔を埋める。 初めてのデート、しかも先程は邪魔が入った。 二人っきりで少しでも…子供っぽいとは分かっていながら、俺は縋るように先生を抱きしめた。 「ん……僕も槇くんと一緒に居たい、です…」 ふふ、という小さな笑い声の後聞こえた柔らかい声に子供扱いされていると思いながら紛れもない幸せを覚える。 背中に回る腕を感じ、首筋に鼻を擦り寄せて先生の匂いを吸い込んだ瞬間。 「あーぁー、伊吹ちゃんと槇どっか行っちゃったねー…」 「お前らがちゃんと見とかねぇからだぞバーカ」 「馬鹿はお前もだろうが、バーカバーカ」 先程も邪魔をしてくれた忌々しい三種類の声。 思わず俺と先生は顔を見合わせた。 「これ…って、相田くん達…?」 「……あの馬鹿共だろうね」 振り返り背中を預けている木越しに今まで俺達が座っていた所を見つめる先生を見ながら返事を返す。 (あぁ何処まで邪魔してくれるんだあの野郎共は……っ) 「…花火、するみたいです」 「……は?あそこで?」 「はい…眞鍋くんがバケツ持って…あ、神社のお水勝手に使ってます…いけないなぁ…」 出ていけないじゃないか、と葛藤する俺とは対照的に先生は随分と暢気だった。 .正直に言ってしまうと、今、俺はヤバい。 夏休みに入ってしまい中々会う事が出来なかった為それはもう充分すぎる程に溜まりまくっている。 …完結に言えば欲求不満なのだ。 そんな、ある意味一触即発の状況での密着。 目の前に居る恋人の何時にない可愛らしい(浴衣)姿。 出ていけない(正確には出て行きたくない)、状況。 「あ……!あんなとこにゴミ捨てて…っ、よし、僕ちょっと注意して来ますね」 気付けば、俺が葛藤している間に先生は妙な決意を瞳に浮かべ俺を見つめていた。 「え…、ちょ、センセ、待って!」 今にも大声で相田達の名前を呼び出て行こうとする先生の口元を慌てて手で覆った。 驚いて動きを止め、元通り俺の方へ向き直る先生に妙な満足感を覚えながら"声出さないで"と小さく囁き手を離す。 抗議でもするつもりか、早速何か話そうと開きかけた唇を自分の唇で塞ぎ黙らせる。 「っ……っん、ふ………、ぅ」 元々開きかけていた口に侵入するのは容易くて、戸惑ったように胸を押し返してくる先生を無視し舌を絡めとった。 「ふ…、…ん、んっ……」 「は………、ん…」 柔らかく湿った舌同士を絡め合うと俺の胸を押していた先生の手がだらりと力無く垂れた。 ぴちゃぴちゃと鳴る水音がたまらなく卑猥に響く。 背中を支えている木に完全に体重を預け、時折震えながらも先生はすっかりキスに夢中だった。 「ん…っはぁ……、ん、ん…」 「…伊吹センセ、静かにね」 唇を離し首筋に口付けを落とせば、先生は俺に捧げるように首を傾げ首筋を露出させた。 喉の奥で小さく笑いながら忠告すると"わかり、ました"と随分か細い声で返される。 羞恥からだろう、見る間に赤くなる首筋にごくりと唾を飲み、俺は先生の体を味わう事に集中した。 「ん、んふ…ぅ、う…ぁ…!!」 「……ん?ここ、気持ちいいの?」 どれくらい経ったのか。 行為を始めた頃にはまだ上がっていた花火は少し前に終わっていた。 相も変わらずバカ騒ぎするバカ共の声は聞こえるけど、目の前で乱れている先生を見れれば俺はそれだけで満足だ。 「ん、ぅん……っそこ、そこ…!」 「へぇー…ここ、どんな風に気持ちいいの?」 「ッあぁああ……!!あ、あ…!!」 さっきから何十分も、俺は先生の中に指を埋めたまま中を刺激し続けている。 わざと分からない振りで前立腺付近を擦って焦らし、時折偶然を装ってぐりぐりと思いっ切り弄ってやると、先生は我を忘れたように喘いだ。 とはいえ、元凶は先生で。 名残惜しいけれど早く終わらせてあげようと中をほぐし挿入しようとした時、先生は思いっ切り拒絶してくれた。 だから俺は、そんなにじっくりしたいなら期待に応えなければと、普段するよりずっと感じさせてやると誓ったのだ。 「センセー汚いなぁ…涎垂らして精液零して……この淫乱教師」 「っう、うぁ……あ、ひ…っ」 静かな神社の境内に響く先生の艶めかし過ぎる声。 とろんと焦点の合わない目をしながら唾液を垂らし仰け反るのを見てぞくりと背筋が震え、思わず詰るような言葉を口にしながら一際強く前立腺を抉れば先生はイったのかびくっびくっと数回大きく体を震わせた。 「まぁたイって…出さないと何回もイけるって本当なんだ、」 「っぁは、あ、いや、やぁ…!」 休む間もなく前立腺ばかり刺激されて、狂ったように先生の体が跳ねる。 先生の可愛いモノの根元にはたこ焼きのパックから入手した輪ゴムが取り付けられていた。 既に何度も空イキさせられて相当体が敏感になっているようで、少し指を動かしただけでもひくひくと中が蠢いた。 木にほとんどの体重を預けて、俺に片方の太ももを抱え込まれた体勢じゃ背中が擦れないか心配だけど、イった直後に音が響くほど激しく指を出し入れするヤツに心配されてもな、と自嘲する。 小さな子供が駄々をこねるようにいやいやと首を振る先生を無視しながら、中を弄る前に散々刺激したせいで真っ赤になっている乳首に強く吸い付く。 …………すると。 「ひ、ッ……い、れて、槇く…っ、早く、はやく…っ!!」 あれほど嫌がっていた先生が、半ば叫ぶように言った。 本当に待ちきれないのか、それともそれをしないと終わらせないつもりだと悟ったのか…どちらにせよ"挿れて"と連呼しながら腰を揺する姿に思わず口角が上がった。 「何、さっきは嫌がってたのに」 「……って、も…奥、欲し…」 すん、と鼻を鳴らしながら言われた言葉はひどく可愛らしくて、"むずむずする"だの"頂戴"だのと言われてしまえば、もう苛めてやろうなんて気持ちはすっかりどうでも良くなった。 「もー可愛いなほんと…、」 指を引き抜き、浴衣の帯を緩めて自分のモノを取り出す。 先生の太ももを両方抱え込み、小さく呟きながら挿入すれば先生は首を反らせながら高い声で喘いだ。 「ぁ、あ……っ…!」 「はー…すっごい、熱い…」 ゆっくりと奥まで突き入れ思わず動きを止めた。 ヤバい、持ってかれそ… 「ぁ、は……あ、早、く…」 散々焦らしておいてすぐに暴発だなんてカッコ悪い。 最悪だ。 内心葛藤している俺とは対照的に、先生は腰を揺らして刺激を得ようと必死だった。 温かいゼリーの中に突き入れているような微妙な感覚…しかもそれは、女よりもずっときつく締め付けて。 先生が腰を揺らす度にその締め付けに襲われ、こうなりゃヤケだと思いながらガツンと最奥まで突き上げた。 先生はそれはそれは気持ちよさそうな表情で衝撃を受け止め俺に抱きついて来る。 「んぁ…は、あん…ふ……好き」 ……熱っぽく耳元で囁かれた言葉に思わず達してしまったのは、俺のせいじゃないだろう。 →END *08.09.01 兎絵 <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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